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お地蔵様と閻魔様
 
むかし むかしの おおむかし
ある村に3匹の 鬼がおった。
1匹めは 青い目玉のうそつき鬼
2匹めは 黄色い目玉のけちんぼ鬼
3匹めは 赤い目玉のあばれ鬼
 
それはそれは おそろしい鬼たちだった
 
うそつき鬼は でたらめをいい
うその話をどんどん ひろめて
村の人を まどわした。
 
けちんぼ鬼は 欲ばりで
なんでもかんでも ひとりじめ
村には 米一粒も なくなった。
 
あばれ鬼は すぐ怒り
手当たり次第、ぶちこわし
みんなびくびく 暮らしてた。
 
村人たちは困ってしまい お地蔵様に頼みにいった。
 
お地蔵様はお憤りになり
 
3匹の鬼をつかまえた。
 
一匹一匹ふみつけにして 
地べたがわれるような大声で
 
うそをつくな
ひとりじめするな
あばれるな
 
と、どなられた。
 
鬼たちは目玉を真っ白けにして ふるえあがった。
 
そして
鬼たちは 心にきめた
 
うそはつかない
ひとりじめしない
あばれない
 
だけど心がゆるんでくると 
うそつき鬼は 口がもごもご動きだし
けちんぼ鬼は 欲がむくむくわいてきた。
あばれ鬼は 毎日いらいら歩き回った。
 
3匹の鬼は またもとどおり
うそつきで けちで あばれんぼうになった。
 
村人たちはまた お地蔵様に頼みにいった。
 
お地蔵様は お憤りになり
おそろしい閻魔さまになられた。
 
鬼もおどろく鬼顔になり 
目玉はぎょろぎょろ 口はさけ 
不気味なのどぼとけを
ギリギリならし
3匹の鬼をつかまえた。
 
一度ならずも二度までも 三度やったら生命をとるぞ
 
と 言われた。
鬼たちは ぶるぶる ふるえ
 
うそをつきません
ひとりじめしません
あばれません
 
と、閻魔さまにいった。
 
閻魔さまは
 
おまえたちの 寿命がつきるまで
ここで みはっておるぞ
 
とおっしゃって お地蔵様にもどられた。
 
3匹の鬼たちは
それから 毎日がまんした。
がまんにがまんにがまんした。
がまんがきれると お地蔵様を拝んで、何度も何度も約束した。
 
すると
 
青い目玉のうそつき鬼は
口が岩のように固くなり、次第に体も固くなり、とうとう本物の岩になり
そのうち 大きな山になった。 
青い若葉のしげる美しい山になった。
村人は薪やきのこをとって暮らした。
 
黄色い目玉のけちんぼ鬼は
なにもかも村人に、分け与え
自分は葉っぱばかり食べておったら
乳が出るようになり、とうとう牛になった。
村人は乳をもらい おかえしに黄色のむぎわらで立派な牛小屋をつくり
大事に大事に世話をした。
 
赤い目玉のあばれ鬼は 
あばれないよう 体を木にしばりつけた。
すると
暑い日は汗がだくだく流れ 冷たい日は涙がざぁーざぁーでて
川ができた。
川がどんどん大きくなると 鬼はだんだん小さくなって
そのうち大きな川だけになった。
太陽がうつると 鬼の赤い目玉だと村人ははなし、川の水を田んぼにいれて米を作っ­た。
苗はすくすく育ち豊かな恵みをもたらした。

鬼たちは姿を消した。
 
村人たちは青い山と 乳のでる牛と きれいな川を 大事の大事に 守ってくらした。

 

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